読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ピーターパンに憧れて

21歳の大学生が普段の生活の中で気になったことを気まぐれに書いています.

ずっと忌避していた「哲学」に少しだけ興味を持った話.―マイケル・サンデル『ハーバード白熱教室』

f:id:road-to-the-victory:20170324152111j:plain

僕は「哲学」というものを生まれてこの方20年余り

ずっと避け続けてきました.

「哲学」と聞くと,「自己とは何か」とか「生きるとは何か」とか

「愛とは何か」などなど,僕にとっては

 

「そんなこと考えて何の役に立つの??」

「ちょっと偉そうなフリして自己満足に終わってるだけじゃん」

 

っていうぐらいのものだったので,

難しそうだし哲学の本とかは今までほとんど

読んできたことがありませんでした.

高校でもいわゆる「倫理」という科目を勉強したことはありません.

 

 

ところが,先日大学の講義の中で,とある動画を見ました.

それは2010年にNHKで放送されたハーバード白熱教室という番組でした.

その講義自体は「哲学」とかを扱うような講義ではなく,

講義の導入的な感じでその番組の一部を見たにすぎなかったのですが,

「えっ、少し面白そう」と思ってしまった僕は,

家に帰ってインターネット上に上がっている

その動画を見てみることにしました.

 

 

ハーバード白熱教室』とは

先ほども書いたように,『ハーバード白熱教室』は

2010年にNHKで3か月ほど放送されていた番組の名前で,

その内容というのは,政治哲学者であるマイケル・サンデル

ハーバード大学で行った講義『Justice ; What's The Right Thing To Do』

を録画し,日本語吹き替えをしたものです.

この講義は長い歴史を持つハーバード大学の中でも,

超有名な伝説の講義だったそうです.

 

全部で12のセクションがあって,1セクション1時間ほどの内容です.

 

ハーバード白熱教室』 感想

全部で12セクションある中のまだ半分ぐらいしか

見終わっていないのですが,「哲学」という概念的な事柄を

しっかり現実の事例まで落とし込んで説明しており,

講義形式も生徒との対話形式で進められていくため,

見ていて飽きることが無いです.

 

さまざまな哲学的問題を現実に即して議論しているため,

「哲学」という学問をすごく身近に感じることができます.

しかも対話形式なのですごく頭に残りやすいです.

 

そんな講義の内容を一部分だけ紹介したいと思います.

 

「殺人に正義はあるか」

「殺人に正義はあるか」は,サンデル氏の第1回目の講義の表題です.

 

サンデル氏はまず生徒に対して次のような質問を投げました.

君は路面電車の運転士で時速100kmの猛スピードで走っている.

君は行く手に5人の労働者がいることに気付いて

電車を止めようとするが,ブレ―キが効かない.

君は絶望する.そのまま進んで5人の労働者に突っ込めば、

5人とも死んでしまうからだ.

ここではそれが確実なものだと仮定しよう.

君は何もできないとあきらめかける.

ところがその時,脇にそれる線路「待避線」があることに気付く.

しかしそこにも働いている人が1人いる.

ブレーキは効かないがハンドルは効くので,

ハンドルを切って脇の線路に入れば,1人は殺してしまうことになるが

5人は助けることができる.

ここで最初の質問だ.「正しい行いはどちらか」

 という質問だった.この後多数決をとるのですが,

「直進する」と答えた人は少数派で,大多数の人は「曲がる」と答えます.

 

しばらく生徒とサンデル氏の議論が続くのですが,しばらくした後で,

別のケースについての質問が投げられます.

君は救急救命室の医者だと仮定しよう.

そこに6人の患者がやってくる.

彼らはひどい路面電車の事故にあったのだ.

内5人は中程度のケガをしている.1人は重傷だ.

重症患者に一日中かかりきりで手当てをすれば助けることができるが,

その場合5人は死ぬ.

逆に中程度の5人の手当てをすれば,5人は助かるが,

その間に重症の1人は亡くなる.

この後,「5人を助けるか」「1人を助けるか」の多数決がとられます.

多数決では5人を助ける人が多数で,1人を助ける人が少数でした.

 

どちらのケースも「5人を助けて,1人を殺す」

という選択をする人が多数を占めました..

 

続けてサンデルは別のケースを投げかけます.

君は移植医で,生きるためにはどうしても臓器移植が必要な

5人の患者を抱えている.

5人はそれぞれ,心臓・肺・腎臓・肝臓を必要としている.

最後の一人は膵臓だ.

そして臓器のドナーはいない.君は5人の死を目前にしている.

その時君は,隣の部屋に健康診断を受けに来た

1人の健康な男がいたのを思い出す.

彼は昼寝をしている.そっと部屋に忍び込んで,

5つの臓器を抜き取れば,その人は死ぬが,

5人を助けられる.

 この後「5人を助ける」か「5人を助けないか」の多数決がとられます.

結果は「5人を助けない」が多数でした.

 

つまり,このケースでは

「1人を助けて,5人を殺す」という選択をしたことになります.

 

ここからサンデル氏は,上の例を抽象化して,

道徳の原理についてのレクチャーを始めます.

 

今までの例から2つの道徳的原理が導き出せるサンデル氏は続ける.

「何が道徳的に正しいのか」という判断は

「行動の帰結で決定する」場合と,「行動の動機で決定する」場合

の2つに分かれると述べています.

 

「待避線によけることで犠牲を最小限にする」

「中程度の患者を助けることで犠牲を最小限にする」

 

という最初の2つの例は,「行動の帰結」に基づいた道徳的原理であり,

 

「1人を殺せば5人は助けられるが,1人を殺すことはしない」

 

という最後の例は,「そもそも殺人は許されない」という

「行動の動機」に基づいた道徳的原理であると解説しています.

 

そして,前者はベンサム,後者はカントという哲学者に代表される

考え方であることを述べていきます.

 

サンデル氏による『ハーバード白熱授業』はこのような感じで

さまざまな哲学的問題について現実に即して議論し,

そこから抽象化して哲学的な思想や歴史について学ぶことができます.

 

まとめ

サンデル氏による『ハーバード白熱授業』はインターネット上に

日本語版も英語版もアップされているので,

もし興味があったら見てみてください.

嫌いだった「哲学」が少し身近に感じることができるかもしれませんよ. 

 


マイケルサンデル ハーバード白熱教室 P1(日本語訳)

 

広告を非表示にする