ピーターパンに憧れて

21歳の大学生が普段の生活の中で気になったことを気まぐれに書いています.

【書評】貴志祐介 『悪の教典』を読んでみた

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2012年に映画化もされたため名前を聞いたことがある人も多いかと思いますが,

貴志祐介さんが書いた小説悪の教典を読んだので,

感想とかを書いておきたいと思います.

 

悪の教典』は

第1回山田風太郎賞受賞・第144回直木三十五賞候補・

第32回吉川英治文学新人賞候補・2011年本屋大賞ノミネート

といったさまざまな賞やその候補に選ばれている作品です.

 

 

映画化・マンガ化されているだけあって,内容もかなり面白く,

上下巻合わせてかなりのページ数があるのですが,

次の展開が気になりすぎて一気に読めてしまいました.

 

ただグロ系やホラー系が苦手な人だと,

ちょっときついかもしれません.特に下巻が.

割と読んでて恐ろしくなります.

 

一部ネタバレを含んでしまうかもしれませんが,

これから読む人のことも配慮しながら,内容と感想について

紹介していきたいと思います.

 

トーリー

市立晨光学院町田高校で英語教師,生徒指導部教員として勤務する蓮実聖司は,

生徒・職員・PTAからの信頼が厚く,絶大な人気を誇る教師だった.

町田高校では日頃から,いじめ・万引き・カンニング・淫乱教師の存在,

モンスターペアレンツなどさまざまな問題が発生していたが,

それを解決していたのも蓮実だった.

 

だがそんな蓮実にはウラの顔があった.

蓮実は自分の学年やクラスの生徒のことを詳細に把握し,

生徒をすべて掌中に収め,「自らの王国」を築こうとしていたのだ.

そしてそのためには手段を選ばず,盗聴器を仕掛けたり,

女子生徒と関係を持ったりしていた.

 

さらにそれだけではなく,蓮実は共感する能力が異常に乏しく,

自分の利益のためなら容易に人を殺してしまうような人物,

いわゆるサイコパスだった.

そして町田高校でも自分の不利益になると判断した教師,生徒を

殺し,持前の頭脳でもって作り上げた戦略で疑いの眼を避け続けていた.

 

ここまでが上巻の話.ここからは下巻です.

 

そんな蓮実のウラの顔に気付き始めた生徒が数名いる中,

蓮実は一番親しくしていた女子生徒に行動を詮索され,

生かしておくことはできないとして,

校舎内でその女子生徒を殺害し,自殺に見せかけようとした.

しかしこれを目撃してしまった生徒がいたために

蓮実は窮地に追い込まれることになる.

 

その日,学校にいたのは数人の教師と蓮実が担任する生徒のみだった.

そして,サイコパスである蓮実が考えた策略が,

「学校内にいる数人の教師と担任する生徒全員を殺害し,

 罪をほかの教師に着せること」

だった.

 

巧みな頭脳戦で,教師や生徒を追い詰めていく蓮実と,

その魔の手から逃れようとする生徒の対決が繰り広げられることになる.

 

感想

蓮実のサイコパス具合がかなり恐ろしく,

殺害の描写などもなかなかリアルで,スピード感のある展開

読んでいてハラハラしました.(とくに下巻)

あまりにも次の展開が気になりすぎて,

僕は下巻を1日で読んでしまいました.

 

蓮実と生徒の駆け引きなんかもすごく知的で,

理系脳の人が読んでも楽しい小説だと思います.

 

ただ強いて言うならば,最後の終わりの部分のネタは

あっけなかったというか,予想できたというか,

それまでがすごく緻密に描かれていた印象だったので,

少し残念な感じはしました.

 

それでもトータルすれば,かなりおすすめの面白い小説です.

世界観に引き込まれること間違いなしだと思います.

 

悪の教典』という題名から考えたこと

この話がただのホラー小説?(ホラーではないかもしれませんが)

に収束してしまうのはなんか違うような気がします.

題名『悪の教典』とあるように,作者は何らかのメッセージを

この小説に込めているのではないのかなという気がします.

 

近年,小学校・中学校・高校では,

この『悪の教典』に出てくる町田高校のように,

「いじめ」や「モンスターペアレント」をはじめとするさまざまな問題が

山積しているように思われます.

 

「いじめ」を例にとってみれば明らかかと思いますが,

学校側は「いじめ」に対して対処療法的な対応しかしておらず,

その結果いじめによって自殺する人が出てくるような現状があります.

 

もちろん,学校側も根本的な解決が必要だと考えているでしょうが,

そのためには生徒やその家族,環境についても把握したり,

教師が生徒のことを気にかけ,理解してあげることが必要だと思います.

だがその一方で,「プライバシーの問題」があったり,

教師への負担が増えることにより,

教師自身が身体的,精神的にやられてしまっているのも事実です.

 

現代の学校が抱えている問題=「悪」がリアルに描かれており,

この小説ではサイコパス教師が生徒を殺すという形で終わっていますが,

そこには学校の抱える問題に対するどんな解決法も,

根本的なものにはなっておらず,どうしようもないやるせなさ

みたいなのを感じることができるのではないでしょうか.

これこそが『悪の教典』という題名の意図するところではないのかな

と個人的には思いました.

 

まとめ

貴志祐介の人気小説『悪の教典』について内容とその感想を

ここまで簡単に書いてきました.

僕自身は映画版を見ていないのですが,映画版も見てみたいなと

思うぐらいには面白い小説でした.

ぜひ読んでみてはいかがでしょうか.

悪の教典〈上〉 (文春文庫)

悪の教典〈上〉 (文春文庫)

 

 

悪の教典〈下〉 (文春文庫)

悪の教典〈下〉 (文春文庫)

 

 

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